YATA-LOG

「作品」と「商品」は違う・・・「人に見せる」展示会では「作品」の方が好ましく、「商品」ではアピールが足りないって事を今回
感じました。コレは優劣の問題ではなく、場所によって見せ方が違うんだよって話です。自分が出展した「あざみ」はそういう
意味では「商品」の範疇。例えばWFやWHFの場合はそれで良い・・・と言うよりその方が良い。しかしこの場ではどうか・・・
「雑感」は最後に書くとして、マズは全出展作品を紹介してみよう。このレポの時点(9月1日)では、まだ会期中なので興味
をもたれたら是非足を運んで頂きたい。生はやっぱ違いますよ!(紹介は50音順)

※会場では作品の展示販売と合わせて「瞳」のフィギュア特集号(#9・10)と亀井さんの絵葉書やサンダーロードスタイル
さんの「特侠ノススメ」なども販売しています。

<安藤賢司>
氏の特徴は「その空間演出の巧みさ」だと自分は思っている。この作品にはその真髄が遺憾なく発揮されていると感じた。
今展示品中、自分が最も心引かれたのがこの作品。押井守氏監督の実写映画「アヴァロン」よりのイメージワークだ。
自分の下手な撮影ではこの空間演出を捕らえることができません。現物を見てはじめてソコに「空間が有る」と感じる事が
できるんです。もう延々と眺め続けてました〜(笑)。気持ちいいんですよ、奥行きが!
<内嶋靖浩>
いままでリリースしてきたオリジナルフィギュアが一同に会してます。「UART/ユーアート」とのジョイントプロダクツで、なん
と彩色済みキットを販売してるんですよ!PVCやポリストーンではなく「レジン彩色」キットと言う、今まで無かった商品形態
です。これなら塗れない人も組むだけでOK、そして安いので買いやすい。塗装レベルも全く問題無しです。コレは会場で販
売してますよ〜。

<大野幸夫>
独特です、自身の世界を突き進んでる感じが良いですね。ドールのカテゴリーに入るんでしょうか?なんか凄く「アート」
っぽく感じます・・・ってアートってのを全く理解できない人間が言うのもどうかとおもいますが^^;(自分の事です)。

<笠井晶次郎>
久々に見ました「グリゼルダ」!笠井さんの構築する「特侠ワールド」での敵(ジンガイ)。クリーチャーです。去年の冬、自
分がセレンをリリースした年だったと思うんだケド、会場散策中にサンダーロード前を素通りできなかったキッカケがコレ。

今も昔も好きな往年のフューチャーモデルズ風味あふれる作品で、「こう言うのが作りたい!」とか思っているど真中だし
今もそう。キット販売じゃなくってこの時から「作品展示」を常としてきた笠井さんだけど、コレは是非量産して欲しいなぁ。

・・・と強くアピールするも、この手のが売れるかどうかは疑問でも有り、責任が取れない以上無理も言えないって感じ。少
なくとも自分は買う!と言ったところで、屁のツッパリにもなりません^^;。コレはもうギルギル・レーベルに頼るしかないの
かな?(笑)

同じく展示の特侠ミクロマンサイズ・ジオラマもそうだけど、毎回臨場感の有るデコレーションを施してきています。例えば
WFでそこまでしてくるところがあまりない状況から、ココ(展示会)にくるとシックリくる。つまり元から商品というより作品と
してのスタンスで造形してたんだなぁと。 そらやっぱ目にとまりますよね。

<亀井潤>

上手いとかどうとかのレベルじゃないです。もう凄いとしか、
そしてため息しか出ません。なんだこの活き活きした表情
は!

「和風」を意識して作り出されるこれらの紛う事無き「作品」
は氏の世界観を如実に語りかけて来ます。

SMH誌で昔に見て衝撃をうけた「カエル姫」(そんなタイトル
ではなかったと思うけど^^;)よりも各段に研ぎ澄まされ、卓
越した技で生み出された、今回自分がはじめて目にする
しかも「生作品」。

デカハンマーで殴られたような衝撃を受けると共に、決して
戦ってはイケナイ相手であると本能が告げてきました^^;。

「絶対に勝てない・・・」悔しいなんてもんじゃないですよコレ
は。もう、住む世界が違うと自分に言い聞かせるしかないと
思ってマス(笑)。

そして下の作品、もう完全に白旗ですね。本人曰く「鼻血が
目を引くんじゃないですか?」との事だけど、そんな話では
無い!・・・と言いたい。イヤ、確かにその部分があってこの
作品が引き立ってるって思うんだケド、それだけでココまで
ビンビン響いてはこないッスよ。

もうなんなの一体、凄過ぎます!(ボギャが貧困で形容で
きません^^;。)
<鬼頭栄作>

コレマタ出ました凄いのが^^;。自分が好きな幾何学ライン
が全てココに詰まってるって作品です。ツカ、昔から見つづ
けてるんで多分にパクらせて頂いてるって話ですよ(笑)。

流用パーツを使っているのは判るんだケド、ここまで馴染
ませ洗練されてくると、ドコからドコまでが自作なのか判り
ません。

それら全てを含めてひとつの形状を成しているワケで、数
ある工業製品の何を選ぶのか?までが創作に含まれてる
んだと思いました。

いくら同じパーツを使ったとしてもこのレベルでは消化でき
ないし、それをもって作風にまで高めた鬼頭さんのセンスは
ずば抜けていると感じます。

御託はいいですね^^;。ハイ、見てて気持ち良いんですよ
流れるラインと個性的な形状が。細かい部分は「これでも
か!」ってくらいに作りこんでるのに、広い三次曲面のス
ペースも確保しつつソレらを馴染ませている・・・。

つくづく凄いとため息まじり、「生」を拝めるのも滅多に無い
機会なので思いっきり見まくります。

見まくったからといって吸収できるか?と言えば全然無理
なんだけど何回も見ちゃうんだよねぇ(笑)。


<小林真>
ディーラーとして各イベントで独自世界を展開しているLONGLONGさんも今回参加しています。前回WFで新作を見逃してた
ので丁度良い!とガン見です(笑)。新作の名前はイルマ、ブログを拝見するに思考錯誤してるのは皆ケッコウ同じなんだ
な・・・と。こうして四体並ぶとメイフェア、シンカーが近未来的でジュビリー、イルマがレトロ調ゴシックと2分する感じ。氏の
脳内世界でコレらの関係がどうなって展開してるのかは想像できるものじゃないけど、「過去と未来」って感じに見えてきた。
そうであるのならコレらを繋ぐ何かが欲しいなァ・・・と勝手に思いを馳せてたり^^;。

<小林和史>
WFでお会いできなかった分、今回はたっぷりお話させて頂きました。この作品見ても只者じゃないと判るんですが、今まで
の作例(ポートフォリオ)を見せていただくとやっぱタダモノではありません。ガンダムばっか作ってるらしいですが、そのレ
ベルが半端じゃない。正直ソッチ方面はトント判りません。でも、ガンダムの本質は判らなくてもやってる事のレベルは判る
つもり。

で、その腕前。そういう意味では云十万単位で請求できるだけの技術を持ってると判断します。このチューブ一号にしても
そう言った部分が多分に含まれており、見所満載。「塗装はベタ塗りですよ・・・」って事だけど、コレをベタ塗りとは呼びませ
ん(笑)。単色ってだけでメカらしい塗装がハイレベルで表現されてる。ソコに笠井造形とのコラボって事なんで嫌が上にも
価値有りだと思いますねぇ。

小林さんのオリジナルメカってのが有るんすが、ゾイドっぽいその形状はマニア垂涎なんじゃなかろうかと勝手に推測(笑)。
 機会を作って世に出れば面白いなぁと。

<寒河江弘>
WFで見た時より良くなってる!そしてこのジオラマ、コレですよ!自分がしなくてはイケなかった事わ!時間を戻して下さ
〜い!(今更)。  時間が無くてもやってくる事はやって来る、やっぱ大御所は一味違います・・・いや、一味どころではな
いですが^^;。

このシリーズは今後も続けて行くそうで、寒河江さんの脳内では終着点が設定されているような感じを話していて受けまし
た。それだけのスピードと造形力、キャリアやコネクション・・・氏が言ってると自分レベルでは先の見えない話でも実現可
能に思えるんですよ。実行力も伴っている人だから聞いてても信憑性が有るんでしょうね。

この「岡田以蔵」が今後のラインナップと合わせてどんな展開になって行くのか、そして氏ならではのキャリアと合わせて
どんな見せ方をしてくれるのか?それはココで自分が語る事では無いし、徐々に明らかになって行くと思うので注目しとき
ましょう!面白そうですよ〜♪

<桜 文鳥>

WSC選出以降かなり多忙そうな文鳥さん、氏も独自路線を
突っ走ってる一人です。

主軸ラインはそのままに、そこを基点に作る個性的な造形
物は徐々にファンを獲得しつつあるとお見うけします。

従来のリリース作品と合わせて展示されてる画像の少女は
いままでよりやや艶っぽいイメージを強調した作例。かなり
危険な雰囲気が漂ってます。(ベットに半身浮かせて寝てる
って・・・^^;)

こないだ米国で開催されたコミックコンベンションでは作品
を参考展示しており、本人も渡米して反応を見てきた模様。
想像するに、かなり異彩を放っていたのではないかと。

ちょっと前からそう言う気配があったけど、ワールドワイドな
展開も可能な気がします。

この手のリアル造形は外人に好まれる。例えば林浩己さん
のフィギュアが向こうでケッコウ受け入れられているといった
ベースもあるので。

しかもコレは日本人・・・ツカ、文鳥さんでしか作れないライン
だし。

文鳥さんが作ったレイとアスカ、コレが自分的には最も「来
た〜っ!」って感じの作品でした。勿論買いましたよ(笑)。

<高橋 淳徳>

「空間コーディネーター」が本職の高橋さん。の筈なんだけ
ど、話していると非常に作家的な感じがする人です。

作例もそういう意味ではかなり独特で、フィギュアで言う「売
れ線」なタッチではまるで無いですね(笑)。

コレはこき下ろしているのでは無く、自分はそう言う人の作っ
たモノこそ見たいと思っている方なので、こういうアプローチ
はとても面白い。

前作からケッコウ溝を空けての新作なんですが、今回はか
なり判りやすくなってるし、かといってテイストを損なう事無く
進化してると思いました。

氏の事だからタッチが変わりつつあるって事では無く、単に
「幅の問題」って事なのかも知れないですが(笑)。
前作と合わせて展示しているので見比べてみるのも面白い
と思いますよ。

本職が上記の通りなんで、空間の使い方がごっつ上手いで
す。自分がフィギュアをデコレーションする場合もその辺は
意識します・・・でもソコはやはり素人、とてもじゃないけど氏
の空間構成レベルには至りません。当然ですが^^;。
<TAKAHIROCK>
「鳴弦屋」というディーラー名で渋いミュージシャンを制作し続ける彼だけど、商業原型では実は萌系もOKというマルチぶり。
この展示内容からは想像できないような可愛らしいのも作れます。その系で行けば確実に売れるのに、あえてしないのが
カッコイイ。

そんな事はどうでも良い位にコレは上手い!表情といい、たたずまいといい、コレを見ると「何やってんだか自分・・・」って気
になりますね。ツルピカ原型も作るのに、適度なツール痕の残る雰囲気の良い状態のものまでホントに器用です。しかし、そ
れ以上に凄いのが好きで作ってるのが伝わるところ。表面をなぞる器用さだけでここまでのモノって作れないと思います。

彼はもっと上手くなる。実際前作と比べてもかなりの進歩が見うけられるし、こういうのばっか作ってるワケじゃないから。
多ジャンルをこなす事でフィードバック確実だし、真剣に造形がすきみたいなので。
<竹内信善>

これだけ圧倒的な造形力を持ちながらも悩んでいる様です。
先行きや方向性・・・行く末の話ですね、若いんだから好きに
やれば良いと思うんだけどなぁ(笑)。

彼はゴジラなんかの原型でかなりのシェアを誇ってますが
自分は恐竜の方に魅力を感じます。このTレックスの存在
感や小気味の良いモールドなどは凄いですヨ、ホント。

因みに自分は恐竜もてんでダメ、何が何やら判りません^^;
判らないけど造形物として見た場合、この作品は欲しいと
思うに十分なモノを内包してるかと。

今回は完成品の展示販売なので凄い金額が付いているが
WFやギルギルなどでキット販売をしているので、おさえて
おこうと思ってマス。

この作品の特徴が、尻尾回りのボリュームと(写ってません
が^^;。)模様をモールドで分けてる部分。それが正解なのか
また利に叶っているのかは判らないんですが、造形物として
見た場合の「引き」があって面白いと感じます。

その部分が彼の解釈の仕方、オリジナル要素として施したの
なら凄いセンスだと思いますね。こう言うモノでもキャラクター
性はあった方が良い。そのまんま置いておくならタダの標本
だと思うので。
<竹谷隆之>
上手い、凄いというより圧倒的、コレが「見せる」と言う事だと作品自体が語ってます。格が違うとかのレベルではなく、別次
元の物だと思いました。写真に撮って紹介しても意味が無いと感じるも、されどレポートには必要・・・って事で一応撮って
きましたが・・・。とてもじゃないけど納まりませんよ、興味が沸けば現物を見る事をオススメします。コレ絶対。

現物を拝んだのは今回がはじめてですが、写真だけでは伝わらなかった感動がありました。一見全体的にみてしまいがち
なんですが、それだけで終らせてしまっては勿体無い。例えばカネヒサ爺や黒木の顔を覗き込んだらソコに表情があり
ます。陳列されている魚のテカリ、大ザルの表情と猿の愛嬌、小物のすべてに至るまでが物語を構成する要素です。それ
ら全ての対比が臨場感と迫力を生んでると。

「ここで買ったものを食ったら絶対に腹を壊す・・・」そう思わせるだけで凄いですし、なかなかそんなリアルな感想は持たな
いと思うんです。モチロン造形の上手さや巧みさ、密度、質量などどれをとっても非の打ち所のない高次元のものですが
自分が感じた一番は「パワー」でした。・・・やはり自分からみれば「ゴッド」です^^;。
<矢竹剛教>

自分ですが何か?(笑)。いやいやいや、いくら50音順とは
言えゴッドの次に来るのは厳しいですね〜、展示物も近接
してるので苦笑するしかありません^^;。

司さんの「あざみ」は大好きなキャラクターですし、見せ方に
よっては他の人とタメを張れる位のものだと思ってます。自分
のレベルで再現されたもので無いのなら・・・って事で(笑)。

とは言っても今回は自分に出きるだけの事はしたつもりです。
それで敵わないと感じたのなら、まだその程度だって事です
ね。恥ずかしくもありますが、そう思える場所に出展できた事
は良かったとホントに思いました。

ちょい前にブログにも書きましたが近年見た映画でビジュアル
的にガツンと来たのが「シンシティ」。全編モノトーンでワンポイ
ントカラーと言う徹底ぶりとクールさにメロっちゃいました。

「塗装でやってみたい」と思った時、自分のアイテムでソレが
適用できるのが「あざみ」だったので今回はやってみましたよ。

単純なベースに牡丹を書いたんですが、ソコに一番気合いを
入れたので見てやってください(ソレってどうよ。笑)
<山崎シゲル>

BOXアートで立体を見せる手法、2次元作品への憧憬から
行きついた結果としての作品と「瞳」誌インタビューに有る。
(詳しくは瞳10号を参照)

山崎氏と言えば自分なんかはフューチャーモデルズでの
活躍を連想するんだけど、昨今の作品を見てると同一人物
とは連想し難かった。

氏が原型を担当した桂正和氏の「シャドウレディー」はいま
もアートストームで通販しているし、同社主催のスーフェス
でも販売されている事が有るので目にする事は有ると思う。
出来はメッチャ良い。コレがGKなら今でも間違いなく買っ
てますね。

他でもフューチャーのデビルマンシリーズの原型とかのイ
メージがあるので、ファンタジー色の強い綾波や展示品と
は繋がらなかったって感じ。

立体作品をボックスに閉じ込めることで、通常空間と隔絶
させる。これなら「枠」内に創作世界を単独のものとして
展開しやすい・・・って事なのかな?

内部に電球が仕込んであり点灯できる仕組みになってい
る。鑑賞する場合は是非点けてみましょう。青白い光が幻
想的ですよ〜。
<吉沢光正>

フィギュア業界を見渡してもそうですが、今回の参加者中で
も最も勢いに乗ってる人です。・・・ってわざわざ紹介するま
でもないと思いますが^^;。

最近の活躍ぶりは見るにつけ、聞くにつけ凄いです。氏の
活躍によって、自分たちのような作風の人間が市場に受け
入れられるようになったんだと思いますし、その基礎部分を
広げてくれたって事でなくてはならない存在だと思ってる。

・・・まぁ本人、そんな事全然考えてないと思いますが(笑)

当業界の老舗で実力、名声ともにTOPだと思うヘビーゲイジ
に師事して力を蓄えた人、根本的な基礎造形に安定感を
持ち、腰の入った造形をします。

作例を見れば判ると思いますが、スキがない。本人的には
有るのかもですが、自分にはソレが判らないです^^;。

イラストレーター「山下しゅんや」さんとのコラボに定評が有
り、オリジナルで有るにも関わらずPVC完成品化すればバ
カ売れするってのは、今まででは考え難い事でした。

時代の流れってのも有るとは思うケド、吉沢さんがソコに一
役かっているいるのは間違いないかと。


以上総勢17人による展示です。商業原型に徹している人や作家に徹している人、副業的にやっている人もいればディー
ラーとして各イベントを巡回する人などさまざま。これは業界全体を見てもそんな感じなんですが、どこに偏る事なく適度な
比率で集まったってのは偶然なのかなんなのか?

オリジナルメインと言う事で、いまだ主流のキャラモノや萌え系が無いってのがチトさみしいですね。百貨店での開催と言う
事で制約があるようですが、それらの作品が持ち寄れないというのは残念至極です。ソレを抜きにして「新世界」とはちょっと
どうかと思いますが、まぁエキジビションタイトルなんて客寄せみたいなもの。ファンに・・・と言うより一般に向けてのアピール
なのでそれで「客寄せ」になるのなら良いのかな?とも思います。

ところで現地でのカメラ撮影は場所柄「禁止」となっています。それは出展側の我々も同様。画像は開店前の照明を落として
いる状態で許可を貰って撮影したものです。その為、特に吉沢さんのと自分のが室内灯の死角となり判り難い画像となって
います。今度また3日に現地入りしますのでその時再撮し、以降に画像を挿げ替える予定。

※えー画像を差し替えたんですが、やっぱ吉沢さんのと自分のはどうしても綺麗に撮れませんでした^^;。前より幾らかは
マシって程度で申し訳けない。この辺は本家サイトでも見れますし、その他のイベントでも現物展示がありますのでご容赦。


<雑感>

最初の話の続きです。今回自分が出展した「あざみ」ですが、モノトーンバージョンと言う事で展示を意識した彩色にしまし
た。でも使用キットが商品である以上単なる色替えの「やっぱり商品」である事に変わりないと思い知りましたよ^^;。
商品とはお客さんに購入してもらう為に如何にそう言う思いになっていただくかを考えでデコレーションするのが前提です。

彩色のバージョン違いはそう言う意味では良く使われる方法ですし、自然とそう言う思考になっている自分に気付きました。
それが悪い方向だとは思っていませんし、これが食い扶持でもある以上は必要な事だとも思っています。

対して「作品」とは自分の世界観を閲覧者に感じて頂く、自己のアピールという側面があります。その為には唯一無二の物
で無くてはならず、商品としてリリースしているモノを流用するのなら初期段階で既に差が出来ているわけです。

ココに展示している原型師や作家は、それがメシの種なので標準以上の仕上げでもって展示に耐えうるクオリティーにまで
引き上げる腕はあります。誰が卓越しているとかそういう話では無く、全員が一様に技術を持つ有る意味「プロ」なわけです。

その中で差が出るとすれば上記した根幹部分に原因があり、ソレ以前の意識部分の問題と言えるでしょう。今回の「新世界
展」に並ぶ展示物の温度差は、そのまま「作品」と「商品」の差である・・・コレが自分が肌で感じた事です。

仮に自分が「あざみ」を作品として見せるとするならば、一から作りおこして雰囲気を盛り上げる演出を施す必要があったワ
ケです。これには時間と労力が懸りますし、完成したものに値段はつけられないですね。

サスガ一流は違うと思うのはソコが判って展示の為の作品を当ててきたってところ。例えば竹谷さんは多くキットをリリース
しています。ソレが置かれていればどうか?いくら巧みの技で仕上げられたからと言って、ここまで感動する事はなかった
と思います。

「値段もつけられない入魂の一点もの」・・・これぞ作品で有り、商業の傍らこういう作例を多く発表しているからこそ他の追随
を許さないんだろうと自分なりに思いました。

創作意欲の塊の多い原型師の中にはこの辺の考えのハザマで迷いが生じてる人も少なからず居ると思います。自分も
原型を作る時、「抜き勾配」や「分割」「パーツ数」など、こう言ったお金に絡む部分でオミットせざるを得ないモールドなどが
それなりにあったりします。

これが一点ものなら思いっきりやりたいようにやる。しかしソレをするととてもじゃないけど製品に出来ません。仮に出来たと
しても凄く高額のモノになる。イコール生活に窮するハメになる^^;。葛藤の連続です。

とはいえ、出来ている人も居ると言う事から不可能ではないとも思えます。ただしかなり狭き門では有るけれど。・・・この辺
で悩みだすとへんな方向に行きかねないし、そんなヒマもないのでやるだけですが。ただ、そう思ったと言う事は忘れたら
イケナイと思いました。

「売る」事のみを考えて作れば魅力はドンドン無くなっていきますし、かといって自分の意欲が沸いたモノのみを作ることに
終始すれば生活が困る。生活が困れば創作活動はやっていけません。自分の能力と照らし合わせて譲歩しつつも上を目
指す・・・向上心を持ちつづければ可能だと思いますし、今回の展示はそんな意味で良い刺激になったなぁと。

最後に一言、塗装に気が行き過ぎてます自分^^;、丁寧に仕上げるとか凝った彩色を施すなんてのは確かな造形力の前
では圧倒されます。亀井さんなんてキャラクターフレッシュ2色で塗ってるって話ですから・・・うそ〜ん^^;。とは言え塗装
はやっぱ自分が使える重要なファクターだし好きなんだよねぇ。原型との合わせ技で一本!と行きたいところだケド、なんか
「竹ヤリで象を倒す」的な気がしてきましたよ・・・。



今回のレポートはかなり長くなりました。、聞いちゃいないよ!ってコメントや雑感もウザイかもしれませんね^^;。まぁそこは
ソレ、私のサイトって事で大目に見てくれ給え(笑)。ここまで読み切った人には感謝、お付き合いありがとうございました。
それでは今回はこの辺で。

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